43F 特集ルーム

「壊れ方の美学」 誰かが言ってた。形あるものはいつか壊れると。 写真だって変色するもんだよ。 ずーと永久に変わらない色が保てることもいいことだけど、 いい感じに変色していくことのほうが、ぼくは好きだなぁ。 鮮やかな記憶よりも、時を重ねた証が欲しい。 そこできれいな壊れ方、いや、色の移り変わりって何だろう・・・ モノクロで言えば、セピアのような雰囲気あるプリントなのかな。 余談だけど、セピアって大抵は初めからセピアに仕上げるんだよね。 元々は変色防止のためにケミカルでプリントを定着させると ウオームトーンになり、通常のプリントより長持ちする。 プリントを調色するにはいろいろなケミカルが用いられるが、 ここではそんな方法なんて挙げてもしょうがないね。 結局言いたい事は、どうせ退色していくのなら きれいに色あせて欲しいってこと。 過去のピクトロペーパーがあんなに退色しているのに 変色していると感じさせないのは、ネガプリントのペーパーよりも 各色が均一に退色しているおかげだと思う。 普通の写真のペーパーで一番弱いのは、 コダックのポートラペーパーやスープラペーパーで、 出来たては最高の発色ができていても、ウインドーにサンプルとして 飾ると、一ヶ月で驚くほど(M)が抜けていってしまう。 ポートレートの顔が緑色になっちゃうなんて、最悪の退色でしょ。 ちゃんと後々まで責任をとるってことは 印画紙の壊れ方まで視野に入れた写真を提供することでしょ。 こう言うことも、判って商品の開発をしたいものです。
                
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