72F 特集ルーム
「Nikon D70 の実力」
今回は、とある人から Nikon D70 を借りているので、そのテストレポートを
お伝えしたいと思います。
ボディーの他に、レンズは同時新発売のDXED18-70F3.5-4.5Gと、
てぶれ補正のついたVRED70-200F2.8G も借りております。
まず手にしてはじめて感じたことは、思ってたよりもしっかりとした
作りをしていること。キヤノンのEOS Kiss DIGITALの対抗だろうという
先入観があったので、その程度のおもちゃっぽさがあると思いきや、
メタルのEOS 10Dほどのしっかり感は無いけれど、
じつはそこそこサブ機にも使えそうなカメラだったんです。
EOS Kiss DIGITALの対抗と言うより、D100を食ってしまいそう。
早速ファインダーをのぞいてみると、あれあれ、像が小さいぞ。
ファインダースクリーンが遠いのか、小さいのか、かなり見づらい。
仕事で頻繁に使うには、ストレスがたまりそうです。
双眼鏡を逆からのぞきながら車を運転するような使いづらさを強いられる
のは、ちょっと致命的。数多くシャッターを切るほどに
このまどろっこしさと言うか、イライラ感がつのってきて、
作画どころではなくなってしまいそうです。
ここは創作に直結する部分なので、しっかりとおさえてほしかった。
その他の部分は、慣れてしまえば使いこなせるようになるものばかり
なので、特に不具合は感じませんでした。
ただ、ホワイトバランスの数値をダイレクトに指定する機能は
いつも使っているだけに、装備してほしかったと思います。
それぞれの程度や条件によってかなりずれが生じてくるので、
曇りとか日陰のマークよりも、色温度の数値の方が
さじ加減がきいてピンときます。
あと、よく使う機能をダイレクトに呼び出せるボタンの割り当てが
できれば、使いこなしがしやすくなったことだと思います。
これは、他メーカーではよくある機能だけに、残念です。
さてさて、画質はどうかと言いますと、
テスト機では、色はG味の傾向があり、彩度もコントラストも低め。
いわゆる、おとなしめの再現って言うやつです。
白飛びも黒つぶれも起こしにくい設定で、とても無難です。
オートホワイトバランスは、よく補正が効いていて、
キヤノンなどの補正不足は感じられませんでしたが、
その副作用として、カラーフェリアの影響も出やすくもありました。
そうそう、カラーフェリアとは、赤い服を着ている人を写すと、
その赤に反応してマイナス補正が働き、顔色まで青くなってしまう現象です。
解像力は、標準設定ではシャープネスが強すぎることもあり、
D100よりも良く感じ、EOS 1ODとの間ぐらいのシャープさと
見ましたが、これはDXED18-70F3.5-4.5Gをつけたときのこと。
EOS 1ODには、17-40F4Lでの比較なので、ちょっと不公平ですな。
それにしてもシャープネスについては、1ODの底力をあらためて感じました。
それから良いか悪いか、ノイズは多い。特に暗い部分。
良いか悪いかと言うのは、多少のノイズがシャープに見せる効果が
あると言うことです。
銀塩の世界でも増感現像をしてノイズを増やすことでシャープに見せる
ことをしたことがありますし、現像を浅くすることで
ヌルッとつるつるでポヤポヤした触感を付けることもありました。
10DではISO400、D70ではISO200がちょうど良いノイズ感です。
まあ、被写体やシチュエーションごとにケースバイケースですが。
ノイズの多さ、細部の表現力、カラーフェリア、ファインダーの見にくさ
気になったことは、こんな程度です。使い方によってはしれたこと。
そんなことより特筆すべきは、起動時間のすばやさ。
この素早さが全ての欠点を補ってもまだ買いの条件に匹敵します。
バッテリーの持ちもうれしい。
内蔵ストロボが高く上がるのも緊急時にいい。
(EOS-10Dでは、レンズでケラレて、内蔵ストロボは使い物にならない)
通常ではFINEしか使わないので、
解像度と圧縮率が別のダイアルなのもうれしい。
X接点が無いのが悲しい、ヘルプ機能もはじめは助かる、
シャッターのタイムラグがやけに気になる、液晶カバーはうれしい。
集合写真には使えないし、スタジオやポートレートではつらい。
でも、スナップにはぴったりの一台に間違い無い。
その際は、何度かのテストを行ってカスタム設定で彩度やコントラスト等を
突き詰めた設定にしておくか、レタッチ必須と言うことで。
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