103F 特集ルーム
「2007年暗室事情」
今回はちょっとデジタルを離れて、モノクロ暗室の現在をお伝えします。
最近では、暗室を持たない写真屋も増えてきて、いよいよ趣味の世界へ
突入するかの状況になってまいりました。
アドビからも、暗室(ダークルーム)ならぬlightroomなどと言うアプリも
出てまいりまして、暗室というものが歴史になろうとしています。
そんな現在、どのくらいの需要があるのか、また、どこまでのものを
入手することができるのでしょうか?
暗室と言えば引き伸ばし機ですが、こちらはまだ販売しており普通に
入手することができますが、密着焼き機となると、見なくなりました。
自作するしかないようです。
モノクロの印画紙はどうでしょうか。
ミツビシの月光がインクジェットペーパーに姿を変えて、
印画紙ではなくなってしまいました。
フジの製品でも、フジブロはあるものの、サイズや枚数のバリエーションが
次々と省略されていき、密着焼き用の印画紙は「銀嶺」も「利根」も
近々消えていくようです。
現像液は、かなり種類が減りました。プロトールも無くなるようです。
単薬品に関しては、もう写真ルートでは入手できないようですね。
定着液はスーパーフジフィックス-Lの大瓶しかなくなってしまいました。
量販店に行けばまだ在庫はあるようですが、問屋からはもう無いようです。
アナログプリンターではグレー色を安定させるのが難しかったのですが、
ミニラボがデジタルプリンターになり、色管理がしっかりできるように
なったため、カラーペーパーを使って彩度を落として擬似的にモノクロ風な
プリントをしても、普通にモノクロ風プリントができてしまいます。
そんな部分を考えても、純粋なモノクロプリントでなければいけないような
プリント依頼もほとんどなくなってしまいました。
でも、モノクロやカラーと言う事ではなく、やはり写真の原点は
「暗室」であって、フォトグラフなんです。
暗闇に光が当たって目に見えて、モノが見えて表現できるという原理に
なんら違いは無いのです。
光と反射と透過と影を記録するのが写真です。
光があふれているところでは光を読みづらいのは当然で、
光を制限された暗室では光のプロパティが見えるのです。
当然、その光があたって浮かび上がった物体の質も見えてきます。
きっと、光で写す暗室発想の写真は、暗室に慣れ親しんだ
ゼロ発想の感覚から生まれてくるものなんだろうと、勝手に思っています。
こんなデジタル時代でも、光を見るために暗室と言うものを
光を診るトレーニングとして、もう一度見直してほしいものです。

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