111F 特集ルーム

「レンズの絞り値」 レンズの性能を表すものに、「開放絞り値」というものがります。 この絞り値は、そのレンズの光を調節する絞りを開放にした もっとも明るい値を表して、同じ焦点距離のレンズ同士では この開放値が小さいほどレンズ自体が大きく、高価なレンズになります。 例えば、50mmのレンズ同士で比べたとします。 「F1.0」と「F1.4」と「F2.0」の3本のうちでは、 レンズ口径は「F1.0」がいちばん大きく、右へ行くほど小さくなり、 明るさも右へ行くほど露出が1段ずつ暗くなります。 カメラのレンズには、光の量を調節する「絞り」と言うものが付いています。 一部の反射型の望遠レンズには付いていないこともありますが、 コンパクトカメラも含めて、ほとんどレンズにはあるはずです。 「F5.6」とか、「F8」という表示がその絞り値です。 この値が大きいほどレンズ内を通過する光が遮られて暗くなります。 そして、暗くなるだけではなく、ピントの合う範囲も深くなります。 絞りを絞るほど、手前の近景から奥の遠景までピントが合ってくるので、 全体をはっきりと説明的に写したい場合には絞り値を大きくします。 その分、暗くなりますので、シャッター速度を遅くしたり、 感度を上げて光を多く取り込む必要があります。 逆に、背景をぼかして省略したい場合は、絞り値を小さくして 奥の遠景をぼかして目立たなくすることで、主題を強調します。 これが一般的なポートレートでよく使われる手法です。 ですから、ポートレートには大口径の高価なレンズが使われているのです。 ここで昔と違ってきた常識として、 前述の絞りを絞ってピントの合う範囲を深くする場合です。 8×10インチとか、4×5インチという大きなフィルムを 使っている時代では、絞れば絞るほどはっきりと写ると言われていましたが、 35mmフィルムよりも小さな受光面が主流になってきた現代では、 受光素子からの使用倍率が大きくなり、 絞りの回折現象の影響をないがしろにできなくなってきました。 ピンホールカメラを作ったことのある方ならご存知かと思いますが、 光はスリットのような部分を通過するときに、そこに接している光は 直進せずに障害物に引っ張られて回り込んでしまう現象です。 これを逆手にとってピンホールカメラの穴の代わりに 同心円の画像を写したミニコピーフィルムを貼り付けて、回折を利用した ちょっと明るいぐるぐるピンホールを作ったこともありました。 話がそれてしまいましたが、 使用倍率の大きくなる受光面の小さなカメラ、 つまり、受光素子のひとつひとつのつぶが小さいカメラでは、 絞りすぎると回折現象により、ポヤポヤしたしまりの無い画像になり、 見た目の上でもシャープさが欠けてきてしまいます。 フルサイズに満たないAPSサイズ以下のカメラでは、 プリントする大きさによっては、絞り値はせいぜいF16ぐらいまでに とどめておいた方がいい場合もあるのです。
                
   次の講座へ     前の講座へ     111Fロビーへ出る