23F 特集ルーム

「インクの変色」 せっかくプリントした物が、いつの間にやら変な色に。 インクの変退色です。 仕方ないことだけど、出来れば何とかしたい。 ということで、 今回は変色の種類と長持ちさせる方法を考えてみましょう。 ひきつづき来月号では、具体的なプリンターを取り上げて、 インクの種類と保存方法の違いによる実験結果をお伝えいたします。 変色ってのは、インクや色素などが退色したり、イエローステインの 発生により、黄ばみが出てきたりして変色と感じる。 各色のインクや色素がそれぞれ同じ割合で退色していけば 全体的に薄くなっていくだけなので、 見た目には変色したと感じるまでには相当退色が進行してからになる。 しかし、 例えばマゼンタインキの退色が他に比べて早かった場合、 CMYKの4色からMだけが薄くなったり彩度が落ちて 緑がかった色に変色してくる。 これが俗に言う、Mヌケというやつ。 まあ、詳しい原理とか計測した数値での比較などのことは 日本写真芸術学会の発表資料にまかせることとして、 体感的な変退色をいかに最小限に抑えるかの方が実用的だと思う。                 ・・・やっぱアナログ人間なのかなぁ どっちみち、日本写真芸術学会の発表も強制劣化テストなので どこまで信用できるか疑問が残る。 かといって、実際に変色してくるまで自然テストをしていたら、 結果が出る前にインキの改良が進んで役に立たない過去のデータに なってしまうプリントもあるので、永久に結論は出ないものなのかもね。 前置きがすっごく長くなってしまったので、本題に戻ります。 変退色には2種類あります。 光によって色褪せる「明退色」と、 温度や湿度による「暗退色」がある。 当然、明退色したものも温度や湿度の影響を受けてはいるが、 明退色の方が暗退色よりも圧倒的に退色が早い。 ということは、 光を当てる時間が短ければ、相当長持ちするということになる。 特にインクジェットプリンターで打ち出したものは明退色に弱いので、 ポスターなどの掲示物には向かないということになる。 このような使い方をする場合は、トナー式のカラーコピーをしたものを 掲示した方がいいですね。 気の持ちようではあるけど、ラミネートコーティングしておけば、 多少の持ちは良くなる(らしい)。^_^; 拡散転写法を採用しているピクトログラフィー   (一般的には銀塩方式と言われているが、     普通の写真で使っている銀塩写真とは違う) の場合は、ラミネートコーティングの効果は期待できる。 メーカーの言うには、ピクトロペーパーは紫外線に弱いので、 UVカットのラミネートコーティングをすると、2倍くらいもつらしい。 それでも銀塩写真の50%の耐久性とのこと。 ちょっとまとめてみます。 インクジェットは、光に大変弱く、暗所保存なら長持ちする。 アルプスを代表する熱転写プリントは、顔料インクのため、 明退色、暗退色共に驚くほど耐久性に優れている。 ピクトロプリントは、明退色に弱く、暗退色もそこそこあるが、 UVカットのラミネートコーティングで写真の約半分の耐久性を確保。 最近聞かなくなった昇華型はピクトロプリントより劣り、にじむ。 結局、光による変色が大きいので、 できるだけくらい場所に保存するのが長持ちの秘訣です。 また、ラミネートコーティングで多かれ少なかれ持ちが良くなるようです。 ということで、何ヶ月くらいで変色してしまうのか、 機種ごとの実際の耐久テスト結果を次回お伝えしたいと思います。
                
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