70F 知恵と知識の間
「デジタルカメラを使いこなそう! Part50」
「構図はもっとも簡単なTips」 〜誰でも上達、構図のあれこれ〜
「見えない動き」
写真は日常の一瞬を固定させる手段なのですが、いろいろなテクニックで
動きを感じさせることもできます。
写真で動きを表現するには、
スローシャッターで見たまんまに動いた部分を流して躍動感を出す、
ブレを使ったものもありますが、
ここでは見えない動きを想像させる構図的な動きを
とりあげてみたいと思います。
見えない動きは、とても理解しにくいのですが、
これが見えるようになれば、構図は自ずと見えてくるものです。
被写体の形や色(目に見える個性)、質量や素材(存在の個性)、
機能(役目の個性)などからくる、物質のパワーというか、
エネルギーというか、そのような力の流れる道すじとか方向みたいな、
内面的な動きというものがどんなものにも存在します。
端的でわかりやすいもので説明すると・・・
たとえば、矢を想像してみてください。
矢の進む方向は、デザイン的にもまっすぐに進行方向がわかります。
機能からくる力の進む方向が存在しているのです。
このような知識や経験に裏づけされた人間的に自然な思い込みがあるものは、
素直に利用した方がいいですね。
逆に、これを意識してアクセントをつけることにも利用できます。
絵を描くときも自然と流れに従っていることに気が付きます。
魚の絵を書くときに、しっぽの方から頭に向かって線を描くことは
あまりしませんし、なんだか気持ち悪いものです。
どうです、もう気がつきましたか。
以前に別件で出てきたと思いますが、動きを表す構図も、
視線のながれと深い関係があるんです。
海では、波は押し寄せるものだといった認識が多いので、
海が上で波打ち際は下にくるのが自然な構図ですが、
シーカヤック乗りの仲間うちでは、海からの視線も兼ね備えているので、
波のイメージは、押し寄せるだけではなく、砂浜へ打ち上げていたりして、
向かうものでもあり、追われるものでもあるんです。
そして、印象に残っている好きなかたちを持っています。
すなわち、自分の構図を持っているんです。
話が半ズレしてしまいましたが、これはこれで抑えておきたいポイントです。
で、話を戻して、力の動きです。
最も実用的な、被写体が人物の場合を具体的に説明しましょうね。
モデルの形を見てみると、目が顔についていて、頭があります。
体から手や足が伸びていますので、この手足は好きなデザインにできる
わけですね。
まずは腕組みをしてもらいましょう。
腕の付け根から手先に向かっての力の流れが発生していますが、
腕組みをしているおかげで、指先まで見えず
双方のながれがぶつかり合ってパワーが生かされていません。
モデルの気持ちはレンズへ向かっているので、手前に出ている腕を
カメラ側に向ける方向に斜めに体を回してみます。
奥から腕が伸びてきているのが良く見える位置にします。
手前の腕からマイナスの力が発生しているので、
奥から伸びてきている腕の指先を手前に出してみてください。
これで奥から手前に向かって力の方向が発生しました。
なんとなく、そんなふうに感じるっていう程度で十分です。
撮影時に、ちょこっと意識してみると、おもしろいですよ。
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