80F 特集ルーム
「もうひとつの写真」
写真表現と言うものは基本的に創作活動であり、根底にあるポリシーは
撮影者からのメッセージであったりするのが常です。
そのためにシチュエーションを組み立てて輝きを与えて被写体をリードする
近頃はそんな撮影方法になってきました。
広告に限らず、ポートレートも一般の記念撮影にしても同じ事で、
観察する事により本質を自分の中に受容し、
商品や被写体の潜在的な魅力をみつけ、目に見える形に引きだして、
撮影者がクライアントに対してメッセージとして表現する事なのです。
ひらたく言えば、撮影者の独断で見抜いた魅力を個性的に表現し、
画像にしてお客さんに教えてあげるんです。
だから常に主観的な創作であり、パターン化できないのが写真です。
これを無理やりパターン化してフランチャイズやチェーン店のように
流れ作業の撮影にしてしまうと、見かけ上の形だけしか写らずに
客観的な記録になってしまいます。これではもともこもありません。
でも、これがいけないと言っているのではなく、このような作業も
今の世の中では求められているのです。
これがもうひとつの流れで、何でもいいから形にして残しておきたい。
体裁さえ整えばいいので、価格は安ければ安いほどいい。
要は、記録として形に残ればいいんです。
これも大量消費の現代では、当然の事です。
しかもこちらの方が需要があるので、仕事として撮影するなら
この流れ作業の方が効率が良くファーストビジネスとしては正解なのです。
ここまで説明すればわかると思いますが、
写真にもファーストなショットとスローな写真があります。
この2つの写真は、一見同じように見えても、
目的がまるっと違った別物で、比べる対象ではない代物なのです。
そしてどちらも写真なのです。
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