81F 特集ルーム
「写真屋的プロファイル事情」
プロファイルがどうのこうのと言われだしてから数年が経ちました。
そして去年、一昨年あたりから、使えるプロファイルにもなってきました。
しかし、プロファイルのとらえ方にブレがありまして、
そのあたりが混乱の原因のひとつにもなっています。
理想論としては、それぞれの考え方があり、Adobe RGB がいいとか、
下手にいじらず RAW のままが良いとか、いろいろ言われていますが、
最終的な出力環境によって変わってくることですし、
後を引き受ける人のやり方もあって、「これっ」って言い切れないのが
現状です。だからよけいにややこしい。
ぼくが撮影する場合も、使い道によって分けています。
とある印刷所で商業印刷に使われるものは、RAW 撮影後に
16bit転送して、Adobe RGB 環境で作業されます。
ラフな折込チラシ等のデータはカメラ現像で、はじめからAdobe RGB で
JPEG撮影することも多くあります。
そして、卒業アルバム等のデータになると、
後処理する環境が整っていないので、Adobe RGB ではなく
sRGB でデータを渡し、そこのインキにあわせて印刷所でCMYKに
変換するという流れで落ち着いています。
印刷についてはこれくらいにして、写真にする場合は・・・
それはやはりsRGBが基準になっています。
一般的なデジタルカメラがsRGBを基準にしているので、
そのデータをプリントするプリンターもsRGBの色域に近くなっている
そんなごくあたりまえの理由なんです。
ただ、カメラと出力側が独自の色域に対応している場合は、
その限られたワークフローの中に限って
独自の色域を利用することもあります。
ではなぜAdobe RGB で作業をするのか。
自家処理している写真屋では、
撮影からプリントの仕上げまで、自分ひとりでの作業になります。
全てのワークフローを一元管理できるので、
出力特性から逆算して、撮影者が自分で色を決める事ができるんです。
このメリットはすごいことです。
そこで作業環境としてAdobe RGB が出てくるわけです。
sRGBよりも色域が広いので、色調補正によって失われる成分も
影響の少ない部分で収まり、最終データをプリント用にsRGBに変換すれば
sRGBのままいじったものよりも劣化が少ないような気がするんです。
・・・気がするんです?
RAWで撮影したものと、Adobe RGB で撮影したものと、sRGBで撮影したもの、
その違いは、通常業務での色調補正では、写真にすれば見分けが付かない
そんな微々たるものです。
でも、理論上の少しでもクオリティの高い写真を提供しようとして、
どうでもいいような部分にムキになっている人がなんて多いことか。
それ以前に、レベル補正やトーンカーブ、色相彩度をマスターした方が
美しい写真を提供できると思うんですけど。
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