95F フォトショップ・ルーム

「覆い焼きツールの範囲」 今回は誰にでも簡単なテクです。 フォトショップには古くから覆い焼きツールと言うものがあります。 覆い焼きと言うのは、写真プリントの暗室作業時に 引き伸ばし機から印画紙に露光を与えている途中で 手のひらや厚紙を使って部分的に光を遮ってやる行為です。 そうすると、その部分だけ当たる光が少なくなって焼付け時間が短くなり 画像が明るくなります。 光が少なくなると明るくなる・・・変に思うかもしれませんが、 写真の焼付けでは、光が当たらなければ印画紙は白地のままで、 光を当てることによって黒に近づけていくのです。 それが写真の焼きつけと言われるものなのです。 手焼きせんべいみたいに、白い地が焼くほど濃くなっていきます。 だから覆った場所は濃くならない・・・明るくなるってことです。 実際の暗室作業では、覆い焼きは覆う面積、形、時間、上下の距離、 動かし方などの要素がテクニックになります。 フォトショップでは、覆う面積はブラシサイズに相当します。 形はカスタムブラシと言うよりは、動かした軌跡に近いと思います。 時間は、ずばりオプションの露光量の数値である%ですね。 上下の距離と言うのは、引き伸ばし機では、覆う位置が印画紙に近いほど 輪郭がはっきり写り、レンズに近くなるほど輪郭がぼけますので、 ブラシのぼかし開始位置%に相当します。 そしてその補助的な動作として、・・・と言うより、覆い焼きのメインとなる テクニックが動かし方です。 動かし方ひとつで、いろんな要素を含む調整をしているのです。 そしてデジタルだからやりやすいものの代表が「範囲」です。 これを「ハイライト」にして覆い焼きをすれば、明るい部分だけを さらに明るくすると言うことなので、ハイライトを立たせる時に便利です。 ただし、彩度も同時に上がってしまうので、スポンジツールに切り替えて 少し彩度を下げてやった方が自然に仕上がります。 「シャドウ」にして覆い焼きをすれば、暗い部分だけを明るくする と言うことなので、部分的にコントラストが落ちたように見えます。 暗部を部分的に起こすときに使用します。 「中間調」にして覆い焼きをすれば、中間濃度を明るくするので ハイライトを飛ばさずに部分的に明るく調整することができます。 デジタルはほんと、便利ですね。
                
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